「安定なんてない?」派遣薬剤師のリアルなリスクと不安【雇止め、収入の波、スキル問題】立ち向かう方法

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想定読者:

  • 派遣薬剤師に興味はあるが、安定性や将来性に不安を感じている方
  • 現在派遣薬剤師として働いており、雇止めや収入の変動に悩んでいる方
  • 派遣で働き続けることによるスキルへの影響が気になっている方

こんにちは、ヤクコジです。

派遣薬剤師と聞くと、「高時給!」「自由な働き方!」といった、ポジティブなイメージを持つ方が多いかもしれません。確かに、それは派遣の大きな魅力の一つです。私も、単発派遣でサクッと稼いだり、自分のペースで働けることにメリットを感じています。

ですがどんな働き方にも良い面だけではなく、隠れた大変な面や、知っておくべきリスクというものが存在します。特に、「安定」という観点では、正社員とは大きく異なる部分があるのも事実です。

この記事では、私自身が派遣薬剤師として働く中で感じた、派遣薬剤師の「リアルなリスクと不安」に焦点を当てて、本音で解説したいと思います。そのリスクにどう向き合い、立ち向かっていくかの方法もお伝えします。

目次

派遣薬剤師のリアルなリスク

リスク①:雇止めと収入の波

「派遣に安定はない」とよく言われますが、これは主に「雇用の不安定さ」とそれに伴う「収入の変動」を指しています。

  • 雇止めの可能性: 薬剤師に限らず派遣契約には期間があり、その期間が満了すれば雇用契約も終了するのが原則です。

    もちろん、契約更新の可能性はありますが、派遣先の経営状況の変化や、人員計画の見直しなど、様々な理由で契約更新に至らず「雇止め」となる可能性はゼロではありません。

    特に、同じ派遣先で長期的に働いている場合、労働契約法の「5年ルール」(無期転換ルール)への対応として、意図的に契約期間を通算5年未満に抑えるケースなども存在すると耳にします。(※1)
「派遣の5年ルール」って何?

これは「無期転換ルール」のことで、派遣社員などの有期雇用契約の人が、同じ派遣会社と通算5年以上契約を更新した場合、本人が申し出れば期間の定めのない契約(無期雇用契約)に切り替えられるルールです。

なぜ「5年ルール」があるの?

有期雇用(期間限定)で働く人の雇用を安定させ、雇止めの不安をなくすために、2013年4月に施行された労働契約法の改正で導入されました。

派遣の「3年ルール」とは違うの?

5年ルール派遣会社との契約期間に関するルール(雇用の安定が目的)。
3年ルール派遣先の同じ部署で働ける期間に関するルール(派遣社員の正社員化促進や雇用の安定が目的)。

  • 収入が毎月一定ではない: 契約期間が決まっていることに加え、働く日数や時間も派遣契約ごとに異なる場合があります。
    また、急な欠員募集が多い単発派遣などは、仕事がある時とない時の波があります。
    そのため、正社員のように毎月ほぼ決まったお給料が振り込まれる、という安定感はありません。収入が月によって大きく変動する可能性があります。

【どう向き合う?】雇止めや収入の波への対策

このリスクに立ち向かうためには、いくつかの対策が考えられます。

  • 複数の派遣会社に登録する: 一つの派遣会社からの求人だけに頼るのではなく、複数の会社に登録しておくことで、より多くの求人情報を得られます。一つの契約が終わっても、すぐに次の仕事を見つけやすくなります。
    また、同じ派遣先でも派遣会社によって募集時給が異なるなんて言うことはよくありますので少しでも収入を上げるためにも必要不可欠だと思っています。
  • 常に最新の求人情報をチェックする: 自分の希望条件に合う求人が出たら、すぐに応募できるよう、派遣会社のウェブサイトやアプリ、LINEの通知などをこまめにチェックしましょう。
  • スキルや経験を棚卸し、担当者にアピールする: 自分の強みや、対応できる業務範囲を正確に担当者に伝えることで、よりマッチした求人を紹介してもらいやすくなります。
    これが、契約更新に繋がったり、次の仕事を見つけやすくしたりすることに繋がります。逆にこういう派遣先は厳しいというのもしっかりと伝えましょう。
    ヤクコジは一人薬剤師は絶対NGにしています。慣れてない職場で一人とか怖すぎますからね。
  • 計画的な貯蓄をする: 収入に波があることを前提に、収入が多い月に計画的に貯蓄しておくことが大切です。いざという時の生活費や、収入が減った月の補填になります。最近家計簿アプリデビューしました。
  • 単発と長期を組み合わせる: 安定した収入の柱として週数日固定で働く長期派遣の契約を持ちつつ、空いた時間に単発派遣を入れて収入を上乗せする、といった組み合わせで働く方法もあります。

リスク②:スキルアップの限界と業務範囲

「派遣だとスキルアップできないんじゃない?」という不安もよく目にします。

  • 業務内容が限定的になりやすい: 派遣先の薬局や病院は、即戦力としてこの業務をしてほしい」という明確な目的を持って派遣薬剤師を受け入れます。
    そのため、任される業務が投薬や監査補助など、比較的定型的で限定的になる傾向があります。
    在庫管理、管理薬剤師としてのマネジメント業務など、薬局運営に関わる幅広いスキルや知識を体系的に学ぶ機会はあまりありません。
    • (参考:過去記事【1日からOK】薬剤師単発派遣で効率UP!メリット・デメリット…のデメリット部分)
  • 継続的な教育・研修の機会が少ない: 正社員の場合、会社が定期的な研修を用意したり、資格取得の支援をしたりすることがあります。
    しかし、派遣薬剤師の場合、派遣会社が提供する研修はあるかもしれませんが、派遣先での継続的な教育プログラムに参加する機会はほとんどありません。
    自分で意識して勉強したり、経験できる職場を探したりする必要があります。

【どう向き合う?】スキルアップの不安への対策

派遣という働き方でも、工夫次第でスキルアップは可能です

  • 多様な派遣先を選ぶ: あえて様々な形態(調剤薬局、ドラッグストア、病院など)や、異なる規模、地域にある派遣先を選んで働くことで、多様な処方や業務に触れる機会を意図的に作りましょう。
  • 積極的に学ぶ姿勢を持つ: 派遣先で分からないことや、新しいシステムに触れた時は、遠慮せずに質問したり、自分で調べたりする積極性が重要です。
    短期間でも学ぼうという意識を持てば得られるものは多いはずです。

    ヤクコジ自身も派遣先の薬剤師の方々や、派遣先の門前薬局と連携が取れているDrへの疑義紹介後に、患者に関するフィードバックなどで、こういった事例にはこういう処方が効果的ということを教えていただいたりもしました。
    様々な科の門前で勤務するのは本当に楽しいですよ。広く浅く受けている面薬局ではなかなか体験できないこともあると、派遣生活によって実感しました。
  • 派遣会社の提供する研修を利用する: 多くの派遣会社は、薬剤師向けの研修プログラムを提供しています。
    eラーニングや集合研修など、自分のスキルアップに繋がりそうなものがあれば積極的に参加しましょう。
  • 自己学習を怠らない: 認定薬剤師の資格取得を目指したり、メーカー主催のwebセミナーを受講したり、専門書を読んだりするなど、日々の自己学習は必須です。
    派遣先での経験と自己学習を組み合わせることで、着実にスキルアップできます。
  • 経験したい業務を担当者に伝える: 「〇〇の経験を積みたい」「〇〇のような業務に挑戦したい」といった希望があれば、登録面談や定期的な面談の際に派遣会社の担当者に具体的に伝えましょう。
    あなたの希望に合う求人を紹介してくれる可能性があります。

派遣薬剤師のリアルなリスク③:責任範囲と孤独感

  • 責任範囲の不明確さ: 派遣先の従業員ではないため、どこまで責任を負うべきか、判断に迷う場面があるかもしれません。
    特に、イレギュラーな対応が求められたり、管理的な業務に関わらざるを得なくなったりした場合に、「これは私の責任範囲なのだろうか?」と不安になることがあります。
  • 職場での孤独感: 短期間の勤務の場合、派遣先の従業員と深い人間関係を築く機会が少ないため、職場に馴染みにくく、孤独を感じることがあるかもしれません。
    ちょっとした疑問や相談を気軽にできる人がいない、と感じることもあるでしょう。

【どう向き合う?】責任範囲と孤独感への対策

  • 契約内容と指示をしっかり確認: 自分の業務内容や責任範囲について、派遣契約や派遣先からの指示をしっかりと確認しましょう。
    不明確な点があれば、派遣会社の担当者や派遣先の責任者に必ず確認してください。勝手に判断せず、報連相を徹底することが重要です。(※2)
  • 派遣会社の担当者を最大限に活用する: 何か困ったこと、不安なことがあれば、すぐに派遣会社の担当者に相談しましょう。
    担当者はあなたの味方であり、派遣先との間に入って調整してくれます。一人で抱え込まず、プロに頼ることが大切です。
  • 積極的にコミュニケーションを取る: 短期間でも、派遣先のスタッフに挨拶をしたり、業務に関する質問をしたりするなど、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が大切です。
    完全に深く入り込む必要はありませんが、円滑な人間関係は仕事のしやすさに繋がります。
    派遣社員に対して厳しい方はまれにいますが、ヤクコジの経験上、多くの方たちが普通に接してくれたり、派遣という働き方に対しての興味がすごい方が多いのでむしろ薬局スタッフの方から積極的に会話してもらえるところばかりでしたね。
  • 割り切りも大切: 短期間の勤務であると割り切ることも、精神的な負担を軽減する上で重要です。
    業務時間中はプロとして責任を持って取り組み、勤務時間外は自分の時間として切り替えましょう。
    決められた勤務時間を終えれば基本的に自由なので限られた時間を精一杯働きましょう。

まとめ:リスクを知り、賢く付き合えば派遣は強い味方に!

派遣薬剤師という働き方には、確かに「安定性」という点では正社員に劣る部分や、雇止め、収入の波、スキルアップの難しさ、責任範囲や孤独感といったリスクや不安が存在します。

でも、これらのリスクを知った上でしっかりと対策し、賢く向き合っていけば、派遣はあなたの働き方や収入を大きくサポートしてくれる強い味方になります!

  • 複数の派遣会社に登録して選択肢を増やす
  • 計画的に貯蓄して収入の波に備える
  • 多様な経験を積んだり、自己学習でスキルアップを図る
  • 派遣会社の担当者を最大限に活用する
  • 報連相を徹底し、割り切りも大切にする

これらのポイントを意識することで、派遣薬剤師として働き続けることができるはずです。

「安定がないかも…」と不安に思って一歩踏み出せないあなたも、まずは情報収集から始めてみませんか?ヤクコジは、みなさんが自分らしい働き方を見つけることを応援しています!

【参考文献】

(※1)労働契約法 第十八条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換等)などを指します。
(※2)労働者派遣法 第四十条(派遣先の講ずべき措置)などを指します。

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