薬局事務として働き始めたばかりの皆さん、「どうすれば早く仕事を覚えられるんだろう?」「周りの先輩たちの役に立ちたいけど、何をすればいいか分からない…」と悩んでいませんか?
この記事では、現役の薬剤師さんや先輩事務さんが「これをしてくれたら助かる!」と感じる、明日から実践できる基本的なポイントを解説します。
常にアンテナを張る!周りの状況を把握する力
薬局事務の仕事は、ルーティンワークだけではありません。薬剤師や患者さんの状況に気を配り、先回りして行動できる「アンテナ力」が非常に重要です。
コピー機の紙補充は基本中の基本
派遣薬剤師として様々な薬局で働いてきましたが、意外とこれができていない薬剤師・事務さんがとても多いです。
外来の処方箋が立て続けに来て慌ただしくなってきたときに、コピーしようとしても紙が入ってないとかなりストレスになります。
新人事務さんはまだ行える業務が少ないと思います。
まずはこまめに紙の補充をしておくということを意識しておけばそれだけでも高評価につながるのでお得です。
ストックの場所を把握し、紙やその他備品の補充方法も早めに覚えておくと良いでしょう。
患者さんが「来る前」から準備を!素早い受付のコツ
患者さんが来局してから慌てて準備を始めるようでは、患者さんを待たせてしまいます。
受付への意識:
作業中であっても、常に受付に患者さんが来ていないか、意識を向けるようにしましょう。
物音や気配で気づくこともありますが、定期的に目線を上げたり、薬局入り口を確認する習慣が大切です。
現在の派遣先でもこれが全くできない事務さんが複数人居て大変です…
マイナンバーカードの確認:
薬局ではオンライン資格確認の導入が進んでおり、患者さんがマイナンバーカードを持参しているかどうかの確認は、薬局のDX加算(医療情報・システム基盤整備体制充実加算)に大きく影響します。(※1)
受付時に「マイナンバーカードはお持ちですか?」と積極的に声かけし、持参されている場合はカードリーダーへのご案内を促しましょう。
この一手間が薬局の収益に直結することを理解し、率先して行うことで、あなたは薬局の経営にも貢献できる事務として高く評価されるでしょう。
マイナンバーカード利用率で加算点数が変わる!
このDX加算の大きな特徴は、薬局におけるマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の「利用割合」に応じて、加算される点数が異なるという点です。
薬局全体で、より多くの患者さんにマイナンバーカードを使ってもらうことで、薬局が受け取る点数が増える仕組みになっています。
要は薬局の売り上げが上がるということです。
2024年度診療報酬改定で新設されて以降、マイナ保険証利用率に応じて算定区分が分けられたり、利用率の算出方法が変更されたりと、何度か変更が行われてきました。
特に2025年4月以降は、各算定区分の点数とマイナ保険証の利用率のハードルが上がっています。
算定区分(R7.4~9月末まで)👇
マイナ保険証の利用率(直近1か月のレセプト件数ベース)加算点数(月1回に限り算定)
・加算1 45%以上 10点
・加算2 30~45%未満 8点
・加算3 15%~30%未満 6点
各区分の点数は上がったものの、それぞれに求められるマイナ保険証の利用率も引き上げられており、より高い利用率を達成する必要があると言えるでしょう。
利用率の参照期間: マイナ保険証の利用率は、適用月の3か月前のレセプト件数ベースを用いることが原則とされていますが、前月(4か月前)および前々月(5か月前)の利用率を用いることも可能です。
当該参照できる3か月間のなかで最高値の利用率が適用されることになります。
届出について: すでに医療DX加算の届出をおこなっている場合で、マイナ保険証利用率の実績により区分変更になる場合、当該区分変更に関する届出は不要とされています。
ソース:【出典】厚生労働省「医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し新しいウィンドウで開く」
薬局事務の皆さんの役割が非常に重要!
このDX加算において、薬局事務の皆さんの役割は非常に大きいです。
積極的な声かけ: 患者さんが来局した際に「マイナンバーカードはお持ちですか?」と積極的に声かけし、持参している場合はカードリーダーへの案内を促すこと。
利用のサポート: カードリーダーの操作方法が分からない患者さんへのサポート。
これらの日々の業務が、薬局全体のDX加算の点数を左右し、結果として薬局の経営を支えることに直結します。単なる受付業務としてではなく、薬局の「稼ぎ」に貢献する重要な役割だと理解して取り組むことで、業務へのモチベーションも高まるでしょう。
※1 薬局のDX加算とは
「DX加算」とは、2024年度(令和6年度)の調剤報酬改定で新設された「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」のことです。この加算は、オンライン資格確認で取得した情報の活用や、電子処方箋の普及、電子カルテ情報共有サービスの導入などを通し、より質の高い医療を提供するために医療DXに対応する体制を確保していることを評価する項目です。
「分からない」を放置しない!早期解決のための行動
新人のうちは、分からないことだらけで当然です。しかし、その「分からない」をどう処理するかが、成長のスピードを分けます。
疑問点はすぐに質問!メモも忘れずに
「これ、どうすればいいんだろう…」と一人で抱え込んだり、間違ったまま進めてしまうのが一番危険です。
タイミングを見計らう: 忙しそうな時に無理に話しかけるのは避けつつも、手が空いた瞬間や区切りの良いタイミングで、分からないことは早めに聞くようにしましょう。
メモを取る習慣: 一度教えてもらったことを何度も聞くのは避けたいもの。教えてもらったことは必ずメモを取り、後から見返せるように整理しておきましょう。
メモを見ても解決しない場合は、再度質問する際に「〇〇とメモしたのですが、この点が分かりません」と具体的に伝えられると、相手も教えやすくなります。
業務を止める前に相談を
調剤中の薬剤師の手を止めてしまうのは避けたいと思うかもしれませんが、判断に迷うような状況で業務を止めてしまうことの方が大きなリスクです。
躊躇しない: 些細なことでも「これは自分の判断で進めても大丈夫だろうか?」と少しでも不安を感じたら、すぐに先輩や薬剤師に相談しましょう。事故やトラブルを未然に防ぐことに繋がります。
積極的な姿勢で業務の幅を広げる
言われたことだけをこなすだけでなく、自ら積極的に業務に関わろうとする姿勢は、周囲に良い印象を与え、より多くのことを教えてもらえるきっかけになります。
手が空いたら声をかける: 自分の担当業務が終わった時や、少し手が空いた時に「何かお手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。
率先して動く: 薬の補充や簡単な清掃、資料作成の手伝いなど、自分にできることを見つけて率先して動くことで、自然と業務の全体像が見えてきます。
まとめ:評価される事務は「周りのために動ける」人
薬局事務の新人が「気が利く」「頼りになる」と評価されていくには、特別な能力というのは必要ありません。常に周りの状況に目を配り、必要な時に先回りして行動できる、この3つのポイントが重要です。
・アンテナを張る:コピー機の紙補充、素早い受付対応、そしてマイナンバーカードの確認。
・早期解決:分からないことは早めに聞き、メモを取り、業務を止める前に相談。
・積極的な姿勢:手が空いたら手伝いを申し出る、自分から動く。
これらの行動は、日々の業務の中で意識すれば誰でも実践できます。今日からできることから始めて、薬局になくてはならない存在を目指しましょう。あなたの努力は、きっと誰かの助けになり、そしてあなたの評価に繋がるはずです。
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